案件名
既存システムSaaS化&クラウド移行
お客様 | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 |
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担当者様 | 技術本部 技術企画部 保全環境開発室長 佐藤 明 様 |
概要
概要
Before
・ユーザーが利用開始までの環境構築のハードルの高さ
・運用・保守の人材不足
After
・クラウド環境への移行
・誰もが使用できるようSaaS化
・保守を容易にする為に開発言語をマイグレーション
導入背景
導入背景(紹介文)
大日本ダイヤコンサルタント株式会社は橋梁を中心とした構造物の計画・設計に強い大日本コンサルタントと、地質・地盤の調査・解析に強いダイヤコンサルタントの合併会社です。60年以上の実績と高度な技術サービスで、社会課題の解決に挑戦しています。
提供している技術の中に移流分散解析という手法があります。
オイラリアン・ラグランジアン法による移流分散解析コード「Dtransu-2D・EL,3D・EL」(※1)(二次元、三次元)を開発し、実規模のモデルに対して精度の良い地下水の流動は、汚染の広がりをシミュレーションすることができます。
近年、他社のCADツールがクラウド化の潮流になっていることや、移流分散解析を社内、社外を含めより多くの方に使ってもらいたいという背景がありました。
※1 「Dtransu-2D・EL,3D・EL」は、岡山大学 西垣 誠教授、三菱マテリアル(株)、(株)ダイヤコンサルタント、三者共同で開発したプログラムです。

大日本ダイヤコンサルタント株式会社 公式サイト
建設コンサルタントが主な業務です。インフラ構造物に関する調査や出来上がったものの点検を担っています。建設コンサルタントは専門的な知識と技術で、私たちが生活するために必要な道路・公園・上下水道・鉄道・ダムなどの社会インフラ整備や、防災・減災計画、地域活性化に向けたまちづくりの立案、環境保全に役立つ技術を提供し、社会課題の解決をリードしプロデュースします。 |
選定理由
J_TECHを選んだ理由
佐藤氏は以下のように語っています。
「弊社の技術を幅広い分野で活かしたいと異業種連携を日頃から考えていました。自分たちの分野外の展示会に参加して、インダストリージャパンの展示物(サイトライン)でAIを使用した異常検知技術の展示を見て自社の技術に応用できると考えたのがきっかけとなり取引を開始しました。」
上記の佐藤氏のお言葉通り、取引を開始する運びとなりました。

課題
課題
移流分散解析システムを誰もが使用できるよう、クラウド利用でナレッジマネジメントを検討しました。
現行システムが抱えていた課題は2つあります。
1.ユーザーが利用開始までの環境構築のハードルの高さ
使用者がすぐに利用しづらい点に有ります。ホームページで公開されているソフトをローカルにダウンロードし、Fortranの動作環境構築を行わなければ動作させることが出来ず、これが使用者にとって高いハードルとなっているため、SaaS化により環境構築が必要無く動作出来る状況にする必要がありました。
その他、本システムを利用するにあたっての入力データ作成などのツール群も複数存在しており、そちらも含めてWeb上で関連サービスとしてSaaS化する必要がありました。
2.運用・保守の人材不足
Fortranの有識者が減少傾向にあり、保守・改修が可能なエンジニアが不足している点です。長く働いてきた人が辞めたときにシステムの知見をどう共有できるのか、メンテナンスが難しいため、他の言語に変換する必要がありました。
本システムのクラウド移行の実現のためにAWSの各種サービスを組み合わせる形で検討しました。これらの課題を解決するためには、AWSに関する知識および経験を有する人材が社内に不足しているという問題も浮き彫りになりました。
提案
提案したソリューション
各課題に対する解決策を検討し、SaaS化を段階的にクラウド移行をPoCを経て進めていくこととなりました。その際に3つのフェーズに分け、システムのSaaS化の推進を提案・実施しました。
以下の3つのフェーズに分けて進めています。
フェーズ1
・システムの認証機能と現行の移流分散解析システムをクラウド上で動作するように構築
フェーズ2
・現行の関連ツールをブラウザで動作するようにSaaS化
フェーズ3
・コード移植(Fortranからコンバート)
現在、フェーズ1が完了しています。このフェーズでは、システムの認証と移流分散解析システムをクラウド上で構築することが主な内容でした。移流分散解析システムをクラウド上に移行することで、使用者は環境構築の手間無く利用することが出来るようになりました。システムをECS上に載せ、Cognitoを用いた認証・認可を実装し、大容量のファイルをS3から直接ダウンロードできるようになりました。アクセス制限に関しては、CognitoのIDプールを利用することで認可処理などが不要となりました。

結果
導入したことによる実感
佐藤氏「フェーズ1の成果物を社内の部署で試用したところ、検討した方向性の検証や使用感の面で実運用に耐えることが叶いそうだという具体的な成果や効果を実感したという声がありました。フェーズ1が終わった現時点では専門の部署でしか使えない状態なのでフェーズ2の対応を経て全社展開予定です。」
上記のように、フェーズ1の実感をいただいております。
今後
今後の展望
フェーズ1では課題であった、使用者が環境構築しないといけない課題が解消されました。今後はフェーズ2〜3で、複数のデータ作成ツール群をSaaS化、保守・改修が可能なようにコンバートする予定です。これにより、お客様がアプリをより効果的に活用し、業務を効率的に進めることが可能となります。
また、私たちはクラウド技術の進化を取り入れ、モダナイゼーションを進めて、お客様のニーズに柔軟かつ迅速に対応してまいります。